【連載】データ活用例-流通版-市場の見定めとスピーディな出店「出店候補地の絞込み」

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流通版 第2回「市場の見定めとスピーディな出店」
2−1.出店候補地の絞込み
 前回のコラムで、競合状況と市場環境の分析を行い、エリアポートフォリオ分析から既存店舗を4区分にグルーピングしました。次に新規出店候補地を決めるに際し、この分析結果を活用していきたいと思います。

出店時には、多くの場合不動産関連業者(仲介、デベロッパー、建設、銀行、信託銀行、弁護士、鑑定士、税理士等)から提供される物件情報を基に様々な角度から調査していくことが多いと思いますが、「地域密着型店舗の集中展開で大型店の新規出店に対抗する」という基本方針から考えると、好調な既存店舗の周辺で認知度の高い地域の深耕策の方がリスクは少なく、効率もよいと思います。

そのため、エリアポートフォリオ分析の結果から、最優良グループである、D店、F店、シェア率の最も高いI店、高成長で今後の可能性が高いA店を軸として、優先地域を絞り込んだ上で、検討を進めていきます。

まず、D店、F店、I店、A店の周辺にある優良地域を以下のように赤い斜線枠内に指定してみます。

【優先地域の絞込み】


次に、出店可能であるかどうか判断するために用途地域を見てみます。用途地域とは、その地域の環境を保護・育成するために、建築物の用途や形態等を制限した法規制です。今回のケースでは、店舗の平均売場面積が1400m2程度の中規模家電店となりますので、対象地域を商業地域か近隣商業地域として絞り込んでいきます。

【用途地域の表示】


→出店可能であるかどうか判断するための都市計画用途地域データに関する詳しい情報はこちら

赤い地域が商業地域、ピンクの地域が近隣商業地域です。したがって、赤い斜線枠の中にある赤もしくはピンクの地域が出店可能エリアとなります。

さらに、出店可能エリアに該当する町丁目をリストアップし、その賃料水準を分析します。周辺店舗の実績値をベースとして支払い可能賃料を算出し、実際の賃料相場(ただし、募集ベース)と比較することで、事業性を事前にシミュレーションしておくことができます。また、希望物件に関する情報のみを不動産関連業者から入手することができ、無駄な物件のスクリーニング業務を省くことができます。

  (イ)エリア (ロ)エリア (ハ)エリア (ニ)エリア (ホ)エリア
賃料相場 9,700 13,700 13,100 13,600 13,000
周辺店舗坪効率 417,400 417,400 196,600 277,800 247,000
支払可能賃料 18,800 18,800 8,800 12,500 11,000
支払余力 9,100 5,100 -4,300 -1,100 -2,000
賃料水準は出店可能エリア(商業地域もしくは近隣商業地域)に該当する町丁目の賃料坪単価平均値、周辺店舗坪効率は周辺の店舗における1坪あたり売上の平均値、支払可能賃料は周辺店舗坪効率の18%で算出した粗利のうち25%までを賃料として支払可能としたもの、支払余力とは支払可能賃料から賃料相場を引いたもの
単位は 「円/月」

→賃料相場を把握するための賃料データに関する詳しい情報はこちら
→賃貸ではなく物件を購入する際に、取引に関する実勢価格を調べたいときはこちら

(ハ)、(ニ)および(ホ)エリアでは、既存店舗以上の売上を見込める商圏ポテンシャルが必要になることがわかります。

ここでは、それぞれの出店可能エリアで物件の紹介があった場合(D店周辺の南千住検討店および亀戸検討店、F店周辺の船堀検討店、I店周辺の小岩検討店、A店周辺の門前仲町検討店)の比較検討を、商圏ポテンシャルから数量的に判断していきたいと思います。

【出店可能エリアにおける候補地の分布】


次回のコラムでは候補地の立地調査について検討して行きます。

 
流通版 第2回「市場の見定めとスピーディな出店」

→市場の見定めとスピーディな出店「出店候補地の立地調査」

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